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鳶職の年収はいくら?平均約414.5万円の実態と、稼げる鳶になる道筋

最終更新:2026年6月8日
鳶職の年収はいくら?平均約414.5万円の実態と、稼げる鳶になる道筋のイメージ

「鳶職って日給が高いって聞くけど、年収に換算するとどのくらいなんだろう」——足場を組んだり鉄骨を建てたりと、現場の中でも高所・重量物を扱う専門性の高い職種でありながら、給料の実態が数字でつかみにくい面があります。求人サイトを見ると「日給1.5万〜2.5万」と幅があって、月に何日稼働するか次第でだいぶ変わるのも整理しにくいところです。

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)が令和7年賃金構造基本統計調査をもとに集計したデータによると、鳶職(とび)の平均年収は約414.5万円(平均年齢41.9歳)です。給与所得者全体の平均(国税庁「令和6年分民間給与実態統計調査」で約478万円)を下回る水準ですが、この数字には重要なコンテキストがあります。有効求人倍率が22.08(令和6年度)という、全職種でも突出した人手不足にある職種であることです。

この記事では、公的統計を軸に、種別(鉄骨/足場/重量)ごとの給与体系の傾向・資格が単価に与える影響・年収を上げる現実的な選択肢を整理します。就職や転職を考えているときの判断材料として使ってください。

鳶職の平均年収は約414.5万円

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)が令和7年賃金構造基本統計調査をもとに集計したデータによると、鳶職(とび)の平均年収は約414.5万円(平均年齢41.9歳・時間当たり賃金1,985円〔一般労働者ベース〕)です。有効求人倍率は22.08(令和6年度ハローワーク求人統計/職業安定業務統計)、求人賃金(月額)は30.5万円(令和6年度)、就業者数は約111,940人(令和2年国勢調査をもとにjob tagが加工した値)とされています。

給与所得者全体の平均は約478万円(国税庁「令和6年分民間給与実態統計調査」)であり、鳶職の平均はそれを63万円ほど下回る水準に位置します。ただし両者は調査対象・母集団が異なるため単純な比較はできません。

ひとつ重要な前提を確認しておきます。job tagが参照する賃金構造基本統計調査は、常用労働者5人以上の事業所に雇用される労働者を対象としており、一人親方・自営で動く鳶職は含まれません。統計の414.5万円は雇用労働者ベースの数字です。

また、job tagの「とび」区分は賃金構造基本統計調査の小分類において型枠大工・解体工と同じ分類に紐づいているため、これら近接職種と平均年収が同水準になります。「鳶職の年収が型枠大工・解体工と同じ」という事実をもって職種間の優劣を判断することはできません。他職種との横断比較は建設業の職種別 年収ランキングで整理しています。

求人賃金(月額)30.5万円を12か月換算すると約366万円で、賞与・手当を含めると年収に近づく計算ですが、賞与の有無・水準・手当の種類は勤務先によって大きく異なるため、求人月額だけで年収を推計するには注意が必要です。

年代でどう変わるか

求人・実務上の目安として、鳶職の年収は年代とともに上がり、40代前半でピークに近づく傾向があります。次の図はその目安を示したものであり、公的統計の年代別確定値ではありません。

全体平均 414.5万円 約290万 20代前半 約340万 20代後半 約400万 30代 約470万 40代 約440万 50代 ※年代別は求人・実務上の目安。確定値でない。平均線(414.5万円)はjob tag・令和7年賃金構造基本統計調査(2026年3月公表)。
年代別の年収は20代前半から40代にかけて上昇し、50代はやや下降する傾向。点線は全体平均(約414.5万円・job tag・令和7年賃金構造基本統計調査)。棒グラフの数値は複数の求人情報・各種調査をもとにした編集部の目安であり、公的統計の年代別確定値ではない。種別・資格・勤務先によって幅がある。
年代年収の目安(求人・実務上の目安)
20代前半約240万〜330万円
20代後半約300万〜390万円
30代約360万〜450万円
40代前半約430万〜520万円
40代後半〜50代前半約400万〜490万円(ピーク後横ばい〜やや下降)

この目安は求人・各種情報をもとにした参考値であり、担当できる種別・取得資格・雇用形態・勤務先によって大きく上下します。日給制の場合は稼働日数で年収が変動するため、年代と年収の関係は月給制の職種ほど単純ではありません。

有効求人倍率22.08——人手不足の構造と背景

鳶職を語るうえで外せないのが、有効求人倍率22.08という数字です。全職種平均と比べても突出した水準であり、求職者1人に対して22件超の求人が存在する計算になります(令和6年度ハローワーク求人統計/職業安定業務統計)。

この数字は一般的に「採用しやすい」と読まれますが、鳶職の文脈では注意が必要です。

  • 高所・重量物作業のリスク:鉄骨建方・足場の組立・重量物の据付は常に転落・挟まれ・落下物のリスクを伴う。高所作業の適性や体力的な要件が一定のハードルになる
  • 日給制・出来高制が多い:天候・工期・景気によって稼働日数が変わるため、年収が安定しにくいと感じる人もいる
  • 若手の入職者が少ない傾向:建設業全体で高齢化が進むなか、鳶職も平均年齢41.9歳で、若手の入職は限られるとみられる

人手不足が続く構造の裏返しとして、経験者・有資格者の待遇・日給が交渉しやすい状況にあるという側面はあります。ただし「求人倍率が高い=高収入が保証される」ではなく、あくまで「対応できる種別・資格・経験があれば求人の選択肢が広がりやすい傾向」として理解するのが適切です。

鉄骨鳶・足場鳶・重量鳶——種別で担当と単価が変わる

鳶職といっても、担当する仕事の内容によって大きく三つの種別に分けられます。これは建設業における実務・求人上の区分であり、統計上の確定分類ではありません。

鉄骨鳶(鉄骨建方)

鉄骨造の建物において、柱・梁などの鉄骨部材をクレーンで吊り上げて組み立てる作業を担当します。高所での精密な作業と鉄骨の安全な取り扱いが求められる、鳶職の中でも専門性の高い種別です。

  • 玉掛け・移動式クレーン等の資格との組み合わせで評価されやすい
  • 鉄骨建方の職人は需要が集中しやすく、日給・単価が高い傾向がある(求人・実務上の目安)
  • 高所作業に伴うリスクは最も高い部類

足場鳶(仮設足場の組立・解体)

建築・解体・塗装・点検等の工事で使う仮設足場を組み立て・解体する作業を担当します。あらゆる現場で需要がある反面、競合が多く単価は鉄骨鳶より相対的に低い傾向があります(求人・実務上の目安)。

  • 「足場の組立て等作業主任者技能講習」修了が法令上必要(一定規模以上の足場作業の主任者として)
  • 現場数・稼働日数を確保しやすい傾向はあるが、日給制では天候・工期の影響を受ける点は他の種別と同じ
  • 改修・解体を含め建設工事の現場で一定の需要が見込まれる

重量鳶(重量物据付)

工場・プラント・変電所等で大型機械・設備・鉄骨を据え付ける作業を担当します。精密な位置決めと重量物のコントロールが求められる高度な職種です。

  • 建設現場の仮設工事とは異なり、製造業・プラント系の工事会社に属することが多い
  • 専門性が高く、熟練者は単価が高い傾向(求人・実務上の目安)。一方で案件数が限られるため、職場を選ぶことが重要
鉄骨鳶が高所で鉄骨部材の接合作業をしている後ろ姿。安全帯を装着し、建物の鉄骨フレームに立つ(顔なし)
鉄骨建方は高所での精密作業が要求される。種別によって求められる資格・単価の傾向が異なる。

資格が年収の幅に与える影響

鳶職の年収を決めるうえで、資格は重要な変数です。担当できる作業の範囲が広がるほど求人の選択肢が変わりやすいという構造があります。

主な関連資格(求人・実務上の目安)

  • 玉掛け技能講習:クレーン等の吊り荷作業に必要な資格。鉄骨鳶・重量鳶では必須に近い。取得難度は高くないが、ないと現場での仕事の幅が狭まる
  • とび技能士(1級・2級):厚生労働省が定める国家資格。足場・型枠・解体・コンクリートブロック等の鳶工事の技能を認定。求人でも評価されやすく、職長へのステップアップにつながりやすい
  • 足場の組立て等作業主任者技能講習:一定規模以上の足場の組立・解体に必要な主任者資格。法令上の要件のため、足場鳶としてキャリアを積む場合は取得が事実上必須
  • 職長・安全衛生責任者教育:現場で職長として部下を管理・指示する立場になるための教育。職長になると日給・給与が上がりやすい傾向がある(求人・実務上の目安)
  • 移動式クレーン運転士・小型移動式クレーン運転技能講習:資材の吊り上げ・移動に対応できるようになり、鉄骨・重量系の求人の幅が広がりやすい

資格別の年収区分は公的統計に存在しないため、統計上の確認はできません。いずれも「必ず年収が上がる」ではなく、「求人の選択肢と交渉力が変わりやすい傾向」として理解してください。

手取りの目安

「年収414.5万円」は額面(税・社会保険控除前)の金額です。実際の手取りは、社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)と所得税・住民税を差し引いた金額になります。

一般的に手取りは額面の75〜85%程度が目安とされており、年収414.5万円の場合は概算で年310万〜350万円前後になります。ただし扶養家族の有無・各種控除・賞与の割合・勤務先によって変わります。正確な金額は給与明細や年末調整の結果で確認してください。

日給制の場合は日給×稼働日数が収入の基本になるため、冬場の工事量減少・雨天中止が多い時期の稼働日数の変動が年収に直結します。年額での見通しを立てる際は月平均の稼働日数から試算するのが現実的です。

現場の声——ポジ・ネガ両論

Yahoo!知恵袋や鳶職関連のSNSでは、「日給は高いけど年間稼働日数が安定しないと年収が読めない」という不安の声と、「鉄骨に転向してから日給が上がった」「元請けに近い会社に移ってから条件が改善した」という声が見られます。投稿IDや原文の現時点での公開状況を個別に確認できていないため、引用形式ではなく傾向としての紹介に留めます。

ポジ・ネガ両方の声が傾向として見られますが、個別事例がすべての鳶職に当てはまるわけではありません。「種別・資格・勤務先との距離感が年収の幅に影響しやすい」という点は複数の声に共通しますが、一般的な保証として読むのは適切ではありません。

年収を上げる現実的な選択肢

種別を広げる・難度の高い仕事に対応する

足場専門から鉄骨建方・重量鳶へ対応範囲を広げることで、単価の高い求人の選択肢が増えやすくなります。玉掛け・クレーン関係の資格を組み合わせると鉄骨系での評価につながりやすい傾向があります(求人・実務上の目安)。

資格を取得する

とび技能士・足場の組立て等作業主任者・職長教育を取得・修了することで、職長・主任として現場管理の立場に移ることができます。管理的な役割になると給与レンジが変わりやすい傾向があります(求人・実務上の目安)。年収を上げる方法について幅広く知りたい場合は建設業で年収を上げる方法も参考にしてください。

待遇の良い会社・元請けに近い現場に転職する

同じ技能・資格でも、会社の規模・元請けとの距離・工種によって日給・月給・賞与・各種手当が大きく異なります。元請けに近い会社・大手ゼネコン傘下の専門工事会社は、二次・三次請けよりも条件が整っている傾向があります。転職によって条件が改善する場合がある一方、希望条件に合う求人があるかどうか・自分の経験・資格が先方の要件を満たすかによって変わります。転職で必ず年収が上がるわけではありません。

独立する(一人親方)

技術・人脈・受注ルートが整った段階で一人親方として独立すると、受注量・単価次第で正社員より高い収入を得られる場合があります。一方で、健康保険・年金(全額自己負担)・道具費・経費・受注変動のリスクもすべて自己負担となります。統計の414.5万円が雇用労働者のみの数字であることを踏まえると、一人親方の収入は上振れも下振れも含めてより大きな幅があることを前提に考える必要があります。独立前に「安定した受注先があるか」「当面の運転資金を確保できるか」を冷静に確認することが重要です。

また、鉄骨鳶が玉掛け・クレーン資格と接点を持つように、同じ現場で重機・クレーンを扱う職種として重機オペレーターの年収クレーンオペレーターの年収も整理しています。他の建設系職種の年収を横断で見たい場合は、大工の年収はいくら?溶接工の年収はいくら?も参考にしてください。それぞれ統計ベースが異なるため、比較するときは年次と母集団の違いを確認することをお勧めします。

朝の建設現場に向かう鳶職人の後ろ姿。安全帯とヘルメットを装着し、とび口(鳶口)を腰に下げている(顔なし)
種別拡大・資格取得・転職・独立——どの道を選ぶかは、現在の勤務先との距離感と受注の安定性を確認してから判断したい。

まとめ

  • 鳶職(とび)の平均年収は約414.5万円(job tag・令和7年賃金構造基本統計調査ベース・平均年齢41.9歳・雇用労働者のみ)。給与所得者全体の平均(約478万円)を下回る水準だが、種別・資格・雇用形態で幅が大きい
  • 有効求人倍率22.08は全職種でも突出した人手不足を示す数字。経験者・有資格者の待遇交渉が通りやすい状況にある一方、高所・重量物作業のリスクや日給制による収入変動が人材確保を難しくしている側面もある
  • 種別は鉄骨/足場/重量で担当・単価の傾向が異なる。鉄骨・重量系は専門性が高く単価が上がりやすい傾向。足場は案件が多く稼働日数を確保しやすい(いずれも求人・実務上の目安)
  • 年収を上げる現実的な道は、資格取得(とび技能士・玉掛け・足場主任者等)による対応範囲の拡大・職長へのステップアップ・待遇の良い会社への転職・独立。転職や独立が必ず功を奏するわけではなく、条件と求人・受注状況次第という点は押さえておきたい

よくある質問

Q. 鳶職の平均年収はいくらですか?
A. 厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)が令和7年賃金構造基本統計調査をもとに集計したデータでは、鳶職(とび)の平均年収は約414.5万円(平均年齢41.9歳)です。給与所得者全体の平均(国税庁「令和6年分民間給与実態統計調査」で約478万円)を下回る水準ですが、種別・資格・雇用形態によって幅が大きく、平均値だけで判断はできません。なお同統計は常用労働者5人以上の事業所に雇用される労働者が対象で、一人親方・自営の鳶職は含まれません。

Q. 有効求人倍率22.08とはどういう意味ですか?
A. 令和6年度のハローワーク求人統計・職業安定業務統計によると、鳶職(とび)の有効求人倍率は22.08です。求職者1人に対して22件超の求人がある計算になり、全職種の中でも突出した人手不足の状態です。ただしこれは「採用が簡単」という意味ではなく、高所作業の適性や体力的な要件・日給制による収入変動などが人材確保を難しくしている側面もあります。

Q. 鳶職が年収を上げるにはどうすればいいですか?
A. 主な道は、玉掛け技能講習・とび技能士・足場の組立て等作業主任者技能講習・職長教育などの資格取得、担当できる種別を鉄骨や重量物据付に拡大すること、待遇の良い会社への転職、独立(一人親方)です。資格や対応範囲が広がると求人の選択肢が変わりやすくなりますが、転職や独立で必ず年収が上がるわけではなく、求人条件・受注状況によって変わります。

Q. 鳶職は日給制ですか?月給制ですか?
A. 中小の専門工事会社や一人親方では日給制・出来高制が多く、大手・中堅ゼネコン傘下や元請けに近い会社では月給制をとっている場合もあります。日給制は稼働日数が年収に直結するため、天候・工期・景気の影響を受けやすい点は把握しておく必要があります。

出典:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」(平均年収約414.5万円・平均年齢41.9歳・時間当たり賃金1,985円〔一般労働者ベース〕は令和7年賃金構造基本統計調査をもとに集計・2026年3月公表。有効求人倍率22.08・求人賃金月額30.5万円は令和6年度ハローワーク求人統計/職業安定業務統計をもとに集計。就業者数約111,940人は令和2年国勢調査をもとにjob tagが加工した値)、国税庁「令和6年分民間給与実態統計調査」(給与所得者全体の平均約478万円)。年代別・種別・資格別の年収は公的統計の確定値でなく、複数の求人情報・各種調査をもとにした目安です。数値は調査年により変動します。最新の値は各公式統計をご確認ください。

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