やめとけ・きつい

「電気工事士はやめとけ」は本当か|きつい・危険と言われる理由と、続ける人が選んでいる道

最終更新:2026年6月5日
「電気工事士はやめとけ」は本当か|きつい・危険と言われる理由と、続ける人が選んでいる道のイメージ

「電気工事士はやめとけ」——就職や資格取得を考えて検索すると、必ずこの言葉にぶつかります。きつい、危険、給料が上がらない。その声は本当なのか、それとも一部の経験から来る印象なのか。この記事では公的統計と現場の声をもとに、感情論ではなく数字で「やめとけ」の中身を分解します。先に言えるのは、不満の多くは「業界そのもの」より「見習い期の薄給」や「職場ごとの条件」に向きやすいということ。だからこそ、辞める前に切り分けるべき分かれ目があります。

「電気工事士はやめとけ」と言われる7つの理由

検索やSNS、口コミで挙がる「やめとけ」の理由は、おおむね次の7つに集約されます。まずは、よく挙がる声をそのまま並べます。

  • 見習い期の給料が低い:一人前になるまで2〜3年かかり、その間の年収は250万〜350万円程度にとどまることがある
  • 肉体的にきつい:夏場の天井裏や屋外、重い資材の運搬など、体力を使う場面が多い
  • 危険を伴う:感電・高所作業のリスクがあり、安全管理を怠れば事故につながる
  • 拘束時間が長い:現場の進行や納期に左右され、早朝・残業が発生しやすい
  • 休みが読みにくい:天候や工期で予定が動き、土曜出勤がある現場も
  • 職人気質の人間関係:上下関係が厳しい現場もあり、合わないと続かない
  • 将来が不安に感じる:このまま体力勝負を続けられるのか、という漠然とした不安
夕暮れの建設現場で資材を片付ける電気工事士の後ろ姿
長時間労働や体力的なきつさは、電気工事士の「やめとけ」で最もよく挙がる本音。ただし、その多くは職場の条件によって大きく変わる。

これらは実際に多くの現場で語られる本音です。問題は、この声が「電気工事士という仕事すべて」を否定しているのか、それとも一部の条件に偏っているのかを見極めることです。

統計で見る実態:「やめとけ」はどこまで本当か

感情的な「やめとけ」を、公的データで検証します。

年収は「安い職業」とは言い切れない

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)が令和7年賃金構造基本統計調査をもとに集計したデータでは、電気工事士の平均年収は約628.1万円(平均年齢41.6歳)です。給与所得者全体の平均(国税庁の令和6年分民間給与実態統計調査で約478万円)を踏まえると、「給料が安い職業」とは言い切れません。

ただし内訳には幅があります。第二種電気工事士のみの段階では350万〜450万円程度、見習い期はさらに下がる一方、第一種の取得や現場管理・施工管理へ進むと600万〜800万円台に届くこともあります(金額は資格・役割別の一般的な目安で、公的統計の平均値とは別です)。つまり「給料が上がらない」のではなく、資格と役割を上げた人ほど伸びやすく、そこで止まると伸びにくい、という構造がうかがえます。

平均 約628万円 約300万 見習い期 約400万 第二種のみ 600〜800万 第一種・施工管理
資格と役割を上げた人ほど年収は伸びやすい。点線の全体平均(約628万円)は厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」の令和7年賃金構造基本統計調査ベースの電気工事士の集計値。各段階の金額は資格・役割別の一般的な目安で、企業規模・地域・経験で幅がある。

離職率は「特別に高い」わけではない

「すぐ辞める人が多い」という印象も検証します。厚生労働省の雇用動向調査(令和5年)によると、建設業の離職率は10.1%。入職率10.0%とほぼ拮抗し、わずかな流出傾向はあるものの、離職率20%を超える生活関連サービス業・娯楽業などと比べれば、年間の離職率としては突出して高い数字ではありません。

建設業 10.1% 生活関連・娯楽 20.8%
建設業の年間離職率は10.1%(厚生労働省「令和5年雇用動向調査」)。年間の離職率だけで見れば20%を超える業種の半分ほど。ただし若手の早期離職は別途高い(本文参照)。

一方で見過ごせないのが若手の早期離職です。厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」では、建設業の新卒3年以内離職率はおおむね大卒3割・高卒4割超で推移しています。とくに高卒は全産業平均より高く、「最初の数年で辞める人が一定数いる」のは事実です。ここに「やめとけ」の実感の源泉があります。

数字が示すこと

整理すると、「やめとけ」は次のように分解できます。

  • 年収・離職率という数字だけで見れば、電気工事士は極端に不利な仕事とは言えない(ただし体力負荷や事故リスクは別途ある)
  • ただし見習い期の薄給と若手の早期離職は実在し、ここを乗り越えられるかが分かれ目
  • きつさ・危険は事実だが、安全管理と職場選びで大きく変わる

「業界が嫌」か「今の職場が嫌」かを切り分ける

「やめとけ」と感じたとき、最も大事なのは原因の切り分けです。不満の正体は、「電気工事という仕事そのもの」より「今いる職場の条件」にあることが少なくありません。

次の問いに答えてみてください。

  • 仕事内容(配線・施工・トラブル対応)そのものは嫌いではないか?
  • きついのは「仕事」ではなく「残業・休日・給与・人間関係」ではないか?
  • 同じ電気工事でも、待遇の良い会社・現場なら続けられそうか?
「やめとけ」と感じたら 仕事内容そのものは嫌い? いいえ=仕事は嫌いではない はい=作業がつらい 条件が不満 今より良い現場へ 転職エージェント 上を目指したい 第一種・施工管理 資格取得 体力・適性で判断 別の道も検討 別職種へ
「やめとけ」と感じたら、まず業界が嫌か職場が嫌かを切り分ける。原因が職場の条件にあるなら、辞めるべきは業界ではなく職場かもしれない。

ここで「仕事は嫌いではない/条件が問題」なら、辞めるべきは業界ではなく職場かもしれません。電気工事士は資格と経験が転職市場で評価されやすく、より条件の良い現場へ移ることで不満が和らぐ場合があります。逆に「配線作業そのものが苦痛」「体力的に限界」なら、別職種への転換も含めて考える段階です。

続けている人に共通すること

「やめとけ」と言われても続けている人に多いのは、次のような姿勢です。手に職をつけて長く働く意志があり、第一種電気工事士などの上位資格で段階的に収入を上げ、独立も視野に入れている。電気の需要は再生可能エネルギーの普及や設備の更新を背景に底堅く、建設業全体では入職が離職に追いつかない人手不足が続いています(雇用動向調査)。こうした環境では、資格と経験を持つ人は評価されやすい傾向があります。「逃げ切る仕事」ではなく「積み上げると強くなる仕事」だと捉えている人が、続ける判断をしています。

辞める前に選べる、次の一歩

「やめとけ」への答えは、辞めるか続けるかの二択ではありません。切り分けた結果ごとに、現実的な選択肢があります。

  • 業界は合うが、今の職場がつらい → より条件の良い現場・会社へ移る。電気工事士の経験は評価されやすく、給与・休日・残業の改善を狙える場合があります。選択肢のひとつが建設・職人系に特化した転職エージェントです。ただし希望に合う求人が常にあるとは限らず、合わなければ断ってかまいません
  • 腹を括ってキャリアを上げたい → 第一種電気工事士などの上位資格を取り、施工管理や管理職、独立へ。働きながら学べる通信講座を使う人が多いです
  • 配線作業そのものが合わない → 同じ建設業内の別職種や、電気の知識を活かせる別分野へ。経験ゼロからのやり直しにはなりにくい
朝の光の中、工具袋を持って新しい現場へ向かう電気工事士の後ろ姿
「やめとけ」への答えは、辞めるか続けるかの二択ではない。切り分けた先に、前向きな次の一歩がある。

どの道を選ぶにしても、まず「自分の不満が業界由来か職場由来か」を切り分けることが先決です。下のカードでは、建設・職人に特化した転職エージェントを中立に比較しています。エージェントにも得意・不得意があるので、複数を見比べて自分で判断する材料にしてください。

まとめ

  • 「電気工事士はやめとけ」の声は事実に基づく面があるが、平均年収は約628.1万円(厚労省 job tag・令和7年賃金構造基本統計調査ベース)、建設業の離職率10.1%と、全体像では「割に合わない仕事」ではない
  • 不満の正体は「見習い期の薄給」「職場ごとの条件」に向きやすい。業界そのものを否定する材料は、今回見た統計の範囲では乏しい
  • 大事なのは「業界が嫌か、今の職場が嫌か」の切り分け。仕事は嫌いでないなら、辞めるべきは業界ではなく職場
  • 続ける人は資格でキャリアを積み上げている。電気の需要は底堅く、資格と経験を持つ人は評価されやすい

よくある質問

Q. 電気工事士は本当に「やめとけ」と言われるほどきつい仕事ですか?
A. きつい・危険という声は事実に基づく面があります。一方で公的統計では平均年収は約628.1万円(厚労省 job tag・令和7年賃金構造基本統計調査ベース)と全産業平均を上回り、建設業の年間離職率も10.1%と特別に高いわけではありません。きつさの中身は「見習い期の薄給」「職場ごとの環境」に向きやすく、職場を選び直すことで和らぐ場合があります。

Q. 電気工事士の年収はどのくらいですか?
A. 厚労省 job tag(令和7年賃金構造基本統計調査ベース)の集計で平均約628.1万円です。見習い期は250万〜350万円程度に下がり、第二種のみの段階では350万〜450万円程度、第一種の取得や施工管理へのステップアップで600万〜800万円台に届くこともあります。資格・経験・企業規模で幅が大きい職種です。

Q. 「やめとけ」と言われても続けている人はどんな人ですか?
A. 手に職をつけて長く働きたい人、資格で段階的に収入を上げたい人、独立も視野に入れている人です。電気の需要は再エネや設備更新で底堅く、人手不足もあって、資格と経験を持つ人は評価されやすい傾向があります。「業界が嫌」か「今の職場が嫌」かを切り分けられた人が、続ける判断をしています。

出典:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」(電気工事士の平均年収約628.1万円・平均年齢41.6歳は令和7年賃金構造基本統計調査をもとに集計・2026年3月公表)、厚生労働省「令和5年雇用動向調査」、厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」、国税庁「令和6年分民間給与実態統計調査」(給与所得者全体の平均約478万円)。資格別・役割別の年収は求人・実務上の目安であり、統計上の確定値ではありません。数値は調査年により変動します。最新の値は各公式統計をご確認ください。