やめとけ・きつい

電気工事士がきつい理由|夏の天井裏から感電リスクまで、現場の本音を統計で検証

最終更新:2026年6月8日
電気工事士がきつい理由|夏の天井裏から感電リスクまで、現場の本音を統計で検証のイメージ

電気工事士の仕事はきつい——そう感じながら検索しているなら、その感覚は的外れではありません。夏場の天井裏、重い電線ドラムの運搬、工期に追われる残業、感電や高所墜落のリスク。体と神経の両方が削れる要素が重なる仕事です。一方で、公的統計(厚生労働省 job tag・令和7年賃金構造基本統計調査ベース)では平均年収は約628.1万円と全産業平均を上回り、すべての職場が同じきつさとも言い切れません。「電気工事士がきつい理由」を体験レベルで分解したうえで、それが業界由来か職場由来かを切り分け、続けるか離れるかの判断材料を示します。

電気工事士がきついと言われる6つの理由

「電工 きつい」「電気工事士 つらい」で集まる声は、大きく6つのカテゴリに分けられます。

夏場の天井裏・屋根裏作業

真夏の天井裏は外気温よりも大幅に高くなり、長時間の作業が難しい環境になります。電線やケーブルを這わせるために狭い空間を匍匐前進し、熱中症のリスクを抱えながら作業する——電気工事士のきつさのなかで一番しんどい作業の一つとして、SNS・口コミで繰り返し挙がります。公開のQ&Aサイトでも、夏の天井裏作業で体力を大きく消耗するという趣旨の声が複数見られます(Yahoo!知恵袋・公開投稿、2023〜2025年閲覧)。

冬の天井裏は逆に外気の冷えが直撃します。快適な季節という概念がほぼない作業環境は、体力消耗の大きな要因です。

重量物の運搬と体への負担

電線ドラムや制御盤、分電盤は数十キロになることも珍しくありません。エレベーターのない現場で複数階を往復する、車両横付けできない現場で長距離を手運びする、狭い廊下で扉を外して搬入する——肉体労働としての側面は見習い期だけでなく、ベテランになっても続きます。

腰痛や膝の痛みを慢性的に抱えている人は多く、50代以降に体力的な限界を感じて現場を離れる人が一定数います。

残業と突貫作業

工期の遅れや他工種との調整ミスが起きると、電気工事は最後に入る工程が多いため「残り時間で詰める」ことになりがちです。施主の引き渡し日は動かせないため、竣工前後は深夜作業・連続残業が発生します。

厚生労働省「過労死等防止対策白書」(令和5年版)でも建設業は長時間労働になりやすい業種として取り上げられており、工期集中期の労働時間の長さは電気工事に限らない業界課題です。

感電・高所墜落のリスク

電気工事士の仕事は常に電気を扱います。停電確認の徹底・ロックアウト、絶縁工具の使用など手順通りに動けばリスクを大幅に下げられますが、「知っていながら省略する現場」が一部に存在します。

厚生労働省「令和5年労働災害発生状況」によると、建設業の死亡災害のうち墜落・転落が最多で、建設業の死亡災害の約4割を占めます。感電による労働災害も継続的に報告されており、リスクそのものは実在します。公開のQ&Aサイトでは、高所作業に慣れることでかえって危険への感覚が鈍るのが怖い、という趣旨の声も見られます(公開投稿、2023〜2025年閲覧)。

高所のきつさは体力だけでなく、常に緊張状態を強いられる精神的な消耗も含みます。

覚える量の多さ

電気工事士になるには第二種の筆記・実技をクリアし、現場では電気設備技術基準・内線規程の知識、図面の読み方、各種機器の仕様、施工手順を覚える必要があります。さらに第一種、あるいは施工管理技士へ進む場合には追加の学習が必要です。

「手を動かしながら勉強も続ける」生活は、特に見習い期から数年は精神的な消耗として効いてきます。

現場移動と拘束時間

電気工事士は複数の現場を掛け持ちすることも多く、会社によっては毎日異なる場所へ移動します。公共交通機関が使いにくい場所も多く、車での移動が長引くと実質的な拘束時間は定時を超えます。現場と会社の往復に加え、工具や資材の積み込み・降ろしで帰宅が遅くなるパターンも珍しくありません。

天井裏にケーブルを通す作業をする電気工事士の後ろ姿
天井裏作業は夏場の高温と狭さが重なる。電気工事士の「きつい」という声のなかで繰り返し挙がる作業環境の一つ。

公的統計で「きつさ」を検証する

感覚的な「きつい」を、公的データで相対化します。

離職率:「特別に高い」わけではないが、若手は別

厚生労働省の雇用動向調査(令和5年)によると、建設業の年間離職率は10.1%。生活関連サービス業・娯楽業(20.8%)など、20%を超える業種と比較すれば特別に高い数字ではありません。

ただし新規学卒就職者の早期離職は別です。厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(令和3年3月卒業者)では、建設業の新規高卒就職者の3年以内離職率は43.2%(全産業の高卒平均は38.4%)。「電工がきつくて辞める人が多い」という印象は、主にこの若手層の早期離職が源泉と考えられます。なおこれらは建設業全体の数字であり、電気工事士だけを抽出した統計ではない点には留意が必要です。

0% 25% 50% 建設業(高卒) 3年以内離職 43.2% 全産業(高卒) 3年以内離職 38.4% 建設業 年間離職率 10.1%
建設業の高卒3年以内離職率(43.2%)は全産業高卒平均(38.4%)を上回る。年間離職率(10.1%)は突出して高くないが、最初の数年に離職が集中する。出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」「令和5年雇用動向調査」。

年収:きつさに見合うかは個人差がある

電気工事士の平均年収は約628.1万円(厚労省 job tag・令和7年賃金構造基本統計調査ベース・平均年齢41.6歳)です。給与所得者全体の平均(国税庁の令和6年分民間給与実態統計調査で約478万円)を上回る数字ではありますが、この数字は40代の経験者を含む全体平均です。

見習い期(入社直後〜2年程度)は250万〜350万円程度に下がることがあり(求人・実務上の目安)、「きつい仕事なのに給料が見合わない」と感じる時期が重なります。この時期をどう乗り越えるかが、早期離職と継続のわかれ目になっています。

労働災害:感電・墜落は実在するリスク

厚生労働省「令和5年労働災害発生状況」によると、建設業の死亡者数は223人で、このうち墜落・転落が最多(建設業の死亡災害の約4割)。感電による労働災害も建設業や電気工事業などで継続的に報告されています。「危険な仕事」という認識は大げさではなく、だからこそ安全管理の水準が職場選びの重要な判断軸になります。

現場の声:ネガとポジ、両方ある

公開されている口コミ・SNSには、正反対の声が並んでいます。

つらい側では、夏場の屋外や天井裏作業で体調を崩しかけたという趣旨の声や、竣工前の連続残業で限界を感じたという趣旨の声が見られます(Yahoo!知恵袋・転職口コミサイトの公開投稿、2023〜2025年閲覧)。

一方で続けてよかったという側では、きついのは最初の数年で資格取得後に待遇が上がったという趣旨の声や、職場を変えたら残業がほぼなくなったという趣旨の声もあります(公開投稿、改変なし)。

どちらかの声だけが「電気工事士のリアル」ではありません。職場・現場の種別・会社の文化によって、同じ「電気工事士」という仕事でも体感の差は大きいです。

「業界がきつい」か「職場がきつい」かを切り分ける

電気工事士の仕事がきついと感じたとき、最も重要なのは不満の正体を特定することです。

次の問いに答えてみてください。

  • 配線・施工・トラブル対応という仕事の中身そのものは苦痛か?
  • きつさの主な原因は「残業・休日・給与・人間関係・安全管理の甘さ」ではないか?
  • 同じ電気工事でも、条件の良い職場なら続けられそうか?

「仕事は嫌いではない、職場の条件が問題」なら、辞めるべきは業界ではなく今いる職場かもしれません。逆に「作業そのものが体力的・精神的に合わない」「高所や感電リスクへの恐怖が慢性化している」なら、別職種を含めた転換を真剣に考える段階です。

「きつい」と感じたら まず原因を分解する きつさの主な原因はどちら? 仕事内容そのもの  or  職場の条件 職場の条件 仕事内容 職場・条件の問題 残業・安全管理・人間関係 現場種別が合わない 仕事の本質的な問題 感電・高所への恐怖が慢性的 体力・適性の限界 転職で 職場を変える 週休2日・安全な現場へ 資格取得で 管理側へ 第一種・施工管理技士 別工種・別職種も視野に 設備管理・積算・電気設計 など資格と知識が活きる職 「業界が合わない」のか「今の職場が合わない」のかで、取るべき行動は変わる。
きつさの原因分解フロー。職場・条件の問題なら職場を変えることで改善が見込める場合がある。仕事の本質的な問題なら工種・職種の転換も含めて検討する段階。

「やめとけ」との違い:きついと辞めるはイコールではない

電気工事士はやめとけ」という問いとこの記事の違いは、焦点の精度にあります。やめとけは「この仕事を選ぶか」の入口の問いです。きついは「選んだあと・続けている途中」で感じる問いです。続けている人の声を見ると、「きつい時期があった」と「辞めてよかった」は必ずしも一致しません。きつさを乗り越えた先に残るかどうかは、個人の状況・職場・タイミングに依存します。

電工がきつい中で待遇を改善する選択肢

切り分けの結果ごとに、現実的な選択肢を整理します。

資格で待遇を変える

電気工事士の将来性でも触れているように、資格の段階が上がるほど年収レンジは広がりやすい傾向があります。第一種電気工事士の取得は、現場での対応範囲を広げるだけでなく、給与交渉の材料になります。さらに施工管理技士(電気工事施工管理技士)を取得すると、手を動かす現場から管理側へのシフトが可能になり、体力的な負荷の軽い働き方に移りやすく、年収面でも評価されやすくなる場合があります(職場・役割によります)。

「きつい体を使う作業がいつまでも続く」という不安は、資格と役割の移行で和らぐ場合があります。

向いている人・向いていない人を確認する

電気工事士に向いている人の特徴を見ると、「細かい作業が苦にならない」「リスクを丁寧に管理できる」「手に職をつけたい意志がある」といった要素が挙がります。逆に言えば、これらが自分に当てはまらないと感じるなら、「きつい」は我慢の問題ではなく、適性の問題として向き合う必要があります。

第二種の段階で見切りをつける前に

電気工事士2種はやめとけという声もありますが、第二種を取得した直後は対応できる現場が限られ、給与も低い段階です。ここで「電工はきつくて割に合わない」と判断するのと、第一種・施工管理まで進んでから判断するのでは、見える景色が違います。短期判断と長期判断を混同しないことが重要です。

朝の現場に向かう電気工事士が工具袋を持ってエレベーターに乗り込む後ろ姿
きつい時期があっても、資格と役割を積み上げた先で待遇が変わる人もいる。原因を切り分けたうえで動く方向を決めるほうが、勢いで辞めるより選択肢が広がりやすい。

まとめ

  • 電気工事士がきつい理由は夏の天井裏・重量物運搬・残業突貫・感電墜落リスク・覚える量・現場移動と、体力と神経の両方を消耗する要素が重なるから
  • 公的統計で見ると建設業の年間離職率は10.1%(厚労省「令和5年雇用動向調査」)と突出して高くはないが、新規高卒の3年以内離職は43.2%(令和3年3月卒)と若手層に集中している
  • 平均年収は約628.1万円(厚労省 job tag・令和7年賃金構造基本統計調査ベース)だが、見習い期は250万〜350万円程度に下がり、きつさと薄給が重なる時期が早期離職につながりやすい
  • 「業界がきつい」か「職場がきつい」かを切り分けることが先決。職場の条件が原因なら、業界から離れる前に職場を変える選択肢がある
  • 資格の上積み(第一種・施工管理技士)で体力負荷の重い作業から管理側にシフトしやすくなり、年収改善と両立できる場合がある

よくある質問

Q. 電気工事士の仕事はどのくらいきついですか?
A. 夏場の天井裏・屋根裏作業、重量物の運搬、工期が迫ると発生する残業・突貫、感電や高所からの墜落リスク、覚えなければならない法規・図面・施工手順の量など、体力と神経の両方を消耗する要素が重なります。ただし「きつさ」の程度は職場・現場の種別・安全管理の水準によって大きく異なり、すべての現場が同じではありません。

Q. 電気工事士の離職率は高いですか?
A. 厚生労働省の雇用動向調査(令和5年)によると建設業全体の年間離職率は10.1%で、業種別で見て突出して高いわけではありません。ただし新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)では建設業の新規高卒就職者の3年以内離職率が43.2%(全産業の高卒平均38.4%)と、早期離職は一定数みられます。「きつくて辞める人が多い」という印象は、この若手層の早期離職が目立つことから来ていると考えられます。

Q. 電気工事士のきつさは職場によって違いますか?
A. 大きく違います。現場の種別(住宅・商業施設・工場・大型ビル)、会社の安全管理の水準、繁忙期の残業量、親方・上司との関係性で、同じ「電気工事士」でも体感の負担は変わります。「業界そのものがきつい」のか「今いる職場の条件がきつい」のかを切り分けることが、次の一歩を決める前提になります。

Q. 電気工事士はきつくても続けるメリットはありますか?
A. 厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)が令和7年賃金構造基本統計調査をもとに集計したデータでは、電気工事士の平均年収は約628.1万円(平均年齢41.6歳)で、給与所得者全体の平均(国税庁の令和6年分民間給与実態統計調査で約478万円)を上回っています。資格と経験を積むほど評価されやすく、第一種電気工事士の取得や施工管理へのステップアップで年収レンジが上がりやすい傾向があります。ただし短所も実在するため、続けるかどうかは自分の状況で判断する必要があります。

出典:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」(電気工事士の平均年収約628.1万円・平均年齢41.6歳は令和7年賃金構造基本統計調査をもとに集計・2026年3月公表)、厚生労働省「令和5年雇用動向調査」(建設業の年間離職率10.1%・生活関連サービス業・娯楽業20.8%)、厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」(建設業の新規高卒就職者3年以内離職率43.2%・全産業の高卒平均38.4%)、厚生労働省「過労死等防止対策白書(令和5年版)」(建設業の長時間労働)、厚生労働省「令和5年労働災害発生状況」(建設業の死亡者数223人・墜落転落が死亡災害の約4割)、国税庁「令和6年分民間給与実態統計調査」(給与所得者全体の平均約478万円)。現場の声は Yahoo!知恵袋・転職口コミサイトの公開二次情報を、特定の投稿者を識別しない範囲で傾向として参照(改変なし)。資格別・役割別の年収は求人・実務上の目安であり、統計上の確定値ではありません。数値は調査年により変動します。最新の値は各公式統計をご確認ください。