やめとけ・きつい

「電気工事士2種はやめとけ」は本当か|資格を取る前の不安を公的統計で検証

最終更新:2026年6月5日
「電気工事士2種はやめとけ」は本当か|資格を取る前の不安を公的統計で検証のイメージ

「電気工事士2種はやめとけ」——資格を取ろうと調べると、このひと言で手が止まります。簡単すぎて価値がない、取っても食えない、結局きつい。その声は本当なのか、それとも一部の人の経験から来る印象なのか。この記事では合格率や年収などのデータと現場の声をもとに、感情論ではなく数字で「やめとけ」の中身を分解します。先に言えるのは、第二種は国家資格の中では入口が広く、不満の多くは「2種で止めたとき」に向きやすいということ。だからこそ、取る前に見ておくべき分かれ目があります。

「2種はやめとけ」と言われる7つの理由

検索やSNS、口コミで挙がる「やめとけ」の理由は、おおむね次の7つに集約されます。まずは、よく挙がる声をそのまま並べます。

  • 2種だけでは扱える工事が限られる:低圧(600V以下)の工事に限られ、ビルや工場の高圧設備は第一種がないと触れない
  • 簡単に取れる=希少価値が低いという声:合格率が高く「誰でも取れるから差別化にならない」と言われがち
  • 資格があっても現場のきつさは変わらない:暑さ・寒さ・高所・重量物といった体力負荷は資格の有無と無関係
  • 年収を本気で上げるなら上位資格が要る:2種止まりだと給与レンジが頭打ちになりやすい
  • 独立には実務経験と人脈も必要:資格だけで独立できるわけではない
  • 受験・講習・工具に費用と時間がかかる:技能試験対策の工具・材料費もばかにならない
  • 将来が漠然と不安:省人化やAIで仕事が減るのではという声
作業机に広げた配線図と電工工具、第二種電気工事士の技能試験対策の練習材料
「2種はやめとけ」の声の多くは、資格そのものより「2種で止めたとき」の物足りなさに向く。まずは入口としての実力を、データで確かめる。

これらは実際に語られる本音です。問題は、この声が「第二種という資格すべて」を否定しているのか、それとも「2種だけで満足した場合」に偏っているのかを見極めることです。

データで見る実態:「やめとけ」はどこまで本当か

感覚的な「やめとけ」を、データで検証します。

合格率は高め=「入口が広い」資格

第二種電気工事士は、国家資格の中では合格率が高い部類です。一般財団法人電気技術者試験センターの公表値をもとにすると、学科試験(筆記・マークシート式)の合格率はおおむね6割前後、技能試験は7割前後で推移しています。受験に学歴・実務経験は不要で、技能試験は事前に公表される候補問題を練習できます。

2種 技能 約72% 2種 学科 約59% 参考:電験三種 約13% 合格率(年度で変動・電気技術者試験センター公表値ベース)
第二種は学科で約6割、技能で約7割が合格する入口の広い資格。難関の代表例である電験三種(第三種電気主任技術者)の直近約13%と比べると、取りやすさは際立つ。数値は年度で変動し、一般財団法人電気技術者試験センターの公表値による。

つまり「簡単すぎる=価値がない」という評価は、裏を返せば「未経験からでも最初の一歩を踏み出しやすい」ということでもあります。住宅や店舗の電気工事は、原則として第二種電気工事士などの資格がなければ行えません(ごく軽微な工事には例外もあります)。資格そのものに需要の裏付けがある点は見落とせません。

2種だけだと年収は中位、でも需要はある

年収はどうか。電気工事士全体の平均年収は約628.1万円(厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」が令和7年賃金構造基本統計調査をもとに集計)ですが、これは経験者・上位資格者も含めた全体の平均です。第二種のみの段階では、求人・実務上の目安で350万〜450万円程度がボリュームゾーンとされます(公的統計の平均値とは別の、媒体・求人ベースの目安です)。

ここで止まると伸びにくいのは事実です。一方で第一種電気工事士の取得や施工管理への移行で600万〜800万円台に届くこともあり(これも求人・実務上の目安です)、第二種はその土台になります。需要面では、住宅・店舗の電気工事に加え、太陽光発電やEV充電設備、スマートメーターなど、低圧の工事領域も広がりつつあるとされます。「食えない資格」と言い切るのは、現状の需要から見て無理があります。

数字が示すこと

整理すると、「2種はやめとけ」は次のように分解できます。

  • 合格率は高めだが、それは「価値がない」ではなく「入口が広く、需要のある資格に手が届きやすい」ということ
  • 2種だけで止めると年収は中位で頭打ちになりやすい。「やめとけ」の実感はここに集中する
  • きつさ・危険は資格と無関係に存在する。資格は仕事のつらさを消す道具ではない

それでも向いている人・向いていない人

「やめとけ」と感じたとき大事なのは、自分がどちらのタイプかを見極めることです。

次の問いに答えてみてください。

  • 第二種を「ゴール」ではなく「最初の一歩」と捉えられるか?
  • 資格を取った先で、実務経験や上位資格を積み上げる気があるか?
  • 現場の体力仕事や環境そのものは、許容できそうか?
「2種はやめとけ」と感じたら 2種を「最初の一歩」にできる? はい=積み上げる気がある いいえ=資格だけ欲しい 実務で経験を積む 良い職場で働く 転職エージェント 上を目指す 第一種・施工管理 資格取得 適性で再考 別の道も検討 別職種へ
第二種は「ゴール」ではなく「入口」。積み上げる気があるなら、取る価値は十分にある。資格だけで高収入を期待すると、ギャップが生まれやすい。

「最初の一歩/積み上げる気がある」なら、第二種を取る意味は大きいと言えます。逆に「資格だけで高収入をすぐ得たい」「配線や現場作業そのものが苦痛」なら、資格を取っても満足にはつながりにくく、別の道も含めて考える段階です。向いている人は、未経験から手に職をつけたい人、将来第一種や施工管理を見据える人。向いていない人は、現場の体力仕事や環境そのものが合わない人です。

迷ったときの次の一歩

「2種はやめとけ」への答えは、取るか取らないかの二択ではありません。むしろ大事なのは、取った後にどう活かすかです。

  • 実務経験を積んで条件の良い職場へ → 第二種があれば、住宅・店舗の電気工事で実務に入れます。経験を積んだうえで、より待遇の良い会社・現場を探す選択肢があります。建設・職人系に特化した転職エージェントもそのひとつですが、希望に合う求人が常にあるとは限らず、合わなければ断ってかまいません
  • 第一種・施工管理へステップアップ → 年収やできる工事の幅を広げたいなら、第一種電気工事士や施工管理が次の目標。働きながら学べる通信講座を使う人が多いです
  • 適性に迷うなら別の道も → 現場作業そのものが合わないと感じるなら、無理に進める必要はありません。電気の知識を活かせる別分野もあります
住宅の現場でコンセントやスイッチの配線作業をする若手の電気工事士の手元
第二種は住宅・店舗の電気工事という実務につながる。取った先で経験を積むことが、次の選択肢を広げる土台になりやすい。

どの道を選ぶにしても、第二種を「ゴール」と見るか「入口」と見るかで、評価は大きく変わります。下のカードでは、建設・職人に特化した転職エージェントを中立に比較しています。エージェントにも得意・不得意があるので、複数を見比べて自分で判断する材料にしてください。

まとめ

  • 「2種はやめとけ」の声はあるが、合格率は学科で約6割・技能で約7割(電気技術者試験センター公表値ベース)と、国家資格の中では入口が広い
  • 「簡単=価値がない」ではなく「未経験から需要のある資格に手が届く」。住宅・店舗の電気工事は原則として資格がないと行えず、再エネ・EV充電で活躍の場も広がりつつある
  • 2種だけで止めると年収は350万〜450万円程度(求人・実務上の目安)で頭打ちになりやすい。「やめとけ」の実感はここに集中する
  • 大事なのは取った後にどう活かすか。第一種・施工管理へ進むか、良い職場で経験を積むか。第二種はその土台になる

よくある質問

Q. 第二種電気工事士は「やめとけ」と言われるほど価値のない資格ですか?
A. そうとは言い切れません。学歴・実務経験が不要で、学科はマークシート式、合格率も学科で約6割・技能で約7割と国家資格の中では取りやすい部類です。取りやすい分「希少価値が低い」という声はありますが、住宅・店舗の電気工事は原則として資格がないと行えず、太陽光やEV充電など活躍の場も広がりつつあります。「2種だけで高収入」を期待すると物足りませんが、手に職をつける最初の一歩としては実用性の高い資格です。

Q. 第二種電気工事士だけだと年収は頭打ちになりますか?
A. 第二種のみで扱えるのは低圧(600V以下)の工事に限られ、求人・実務上の目安では年収350万〜450万円程度がボリュームゾーンとされます。ここで止まると伸びにくいのは事実です。一方で第一種電気工事士や施工管理へ進むと600万〜800万円台に届くこともあり、第二種はその土台になります。「頭打ち」かどうかは、2種で止めるか次の資格・役割へ進むか次第です。

Q. 「やめとけ」と言われても第二種を取る価値があるのはどんな人ですか?
A. 未経験から建設・電気の世界に入りたい人、手に職をつけて長く働きたい人、将来的に第一種や施工管理を目指す踏み台にしたい人です。逆に「資格だけで高収入をすぐ得たい」「現場の体力仕事や環境そのものが合わない」という人には、期待とのギャップが生まれやすい資格です。

出典:一般財団法人電気技術者試験センター「電気工事士試験の試験結果」、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」。合格率・年収は調査年により変動します。資格別の年収レンジは求人・実務上の目安で、公的統計の平均値とは別です。最新の値は各公式情報をご確認ください。